導入校:共立女子学園 様
共立女子学園、生成AIとGoogle Workspaceの活用で学生のための教育のデジタル化を推進
共立女子大学・共立女子短期大学をはじめ、幼稚園・中学校・高等学校・大学院を運営する学校法人共立女子学園。近年は「DX推進」を掲げデジタル技術を活用した教育・研究や学校運営の変革に注力。Google Workspace for Education と生成 AI 「サテライトAI」を活用し、新たな教育環境による新しい授業の創造と教職員の業務効率化を図っている。
学校法人共立女子学園は、明治19年設立の「共立女子職業学校」を母体とする、女子教育の歴史における実学教育のパイオニアである。「女性の自立と自活」を建学の精神として、一人ひとりが他者と協働して自分らしいリーダーシップを発揮する、全員発揮型のリーダーシップ教育に注力。近年は「DX推進」を掲げ、デジタル技術を活用した教育・研究や学校運営の変革にも力を入れている。その1つが、Google Workspace for Educationや生成AIの活用だ。

学生のための教育のデジタル化を推進
共立女子学園では、「kyonet(共立女子大学・共立女子短期大学教育ネットワークシステム)を補完するものとして、Google Workspace for Education Plus(以下、Google Workspace)を利用している。
「Google Workspaceは、授業資料の作成や共有などに活用しています。スマートフォンを含むマルチデバイス対応により、いつでもどこでも学習することが可能となり、自宅での学習を促進することで、事前学習・事後学習時間の確保もできます。また、新たな教育環境による新しい授業の創造も効果として期待できます」と語るのは、共立女子学園 法人事務部 情報システム課 情報システムグループ 小國氏だ。
同学園は2007年から大学・短大のキャンパスを神田一ツ橋に集約し、授業支援システムを積極的に導入。LMS(Learning Management System:学修管理システム)を中心に、大学の授業や学習を進めている。
大学においては、授業における教育ネットワークシステム(kyonet)の積極的利用や、オンデマンド型授業に対応するための学修環境の整備として、Myパソコンおよび自宅ネットワーク環境の整備を学生に促している。
パソコンの利用シーンとしては、授業中、授業外での教材や授業資料の確認、オンデマンド授業の受講、授業課題への対応、レポートや卒業論文の作成、テストの受講、自学自習での活用、就職活動での活用などがある。
さらに2021年には、「Kyoritsu教学DX推進プラン」を策定して、学生のための教育のデジタル化を強化した。
「コロナ禍でキャンパスに集まって授業や研究、業務ができなかった時、LMSやGoogle Workspaceを活用すれば、これまでやらなかった方法で授業や研究、業務を進めていけるのではないかと教職員で話し合いデジタル化を進めてきました」(小國 氏)
具体的には、全教室にWebカメラを設置してGoogle Meetを使って授業を録画。オンデマンド授業を実施。さらに、学生が1人1台の端末を持っている前提で、LMSや授業の課題の出し方、テストのやり方が少しずつ変わってきている。
「現在は殆どが対面授業に戻りましたが、学生が振り返ることができるように授業を録画したり、オンラインで課題を提出する文化が根付いてきました。Myパソコンを活用した授業運営や自学自習を推奨していますので、安定したネットワーク環境やサポート体制を用意できるように日々努力しています」(小國 氏)
生成AIを活用して議事録作成やアンケート集計を効率化
さらに同学園では、2024年度から生成AIを導入し、教職員の個々の業務効率化を図っている。
「『生成AIを業務に使う環境を用意すべきではないか』との声が学内で出始めていました。当時、ChatGPTの機能がどんどん出てきて、一般向けChatGPTを業務で使っている人や、有償版を個人で契約して業務で使っているという話を、耳にするようになっていました。業務で使うのであれば、『堂々と使える環境を用意すべきではないか』と考えていたところ、2024年8月のGoogle Cloud Next TokyoでサテライトAIを知り、安価で気軽に始められる点に魅力を感じました。トライアルもできるということだったので、サテライトオフィスさんにお声かけさせていただきました」(小國 氏)
同学園ではサテライトAIの導入を2024年10月から検討し、12月からトライアルを実施した。サテライトAI は、AIの主要プラットフォームであるChatGPT/Google Gemini/Google VertexAI/Microsoft Azure OpenAI/Claudeなどの機能を内包した法人向けのサテライトオフィス独自のAIソリューションだ。
同学園では、生成AIの導入が初めてで、学内への周知方法や教職員にどのように活用してもらうかが大きな検討課題としてあり、慎重に導入を進めた。また、GoogleのGeminiやNotebookLMとも比較しながら、生成AIの導入を検討したが、Googleのパートナー企業であるサテライトオフィスは、それぞれのメリット・デメリットを熟知していることからスムーズに選定が進み、結果的にサテライトAIを正式に導入することを決定した。
「サテライトAIは、サポートがしっかりしている点が魅力でした。新しいものを入れるとなると、今まで使っていた人と使ったことがない人のレベルが違うので、サテライトオフィスの担当者に来ていただいて、説明会を含めたハンズオンの体験会を開催してもらいました」(小國 氏)
同学園では委員会などの会議が多いため、サテライトAIでは会議の議事録作成をよく使っている。
「今までは手書きやGoogleドキュメントのメモから議事録を作成していましたが、AI議事録を使うようになってから、文字起こしが正確で、まとめもきちんとしてくれるため、よく使われるツールになっています。教員からは、面談の記録として活用できそうだと聞いています」(小國 氏)
資料作成やアイデア整理においては、AIドキュメントも活用している。例えば、アンケートの集計はGoogleフォームでできるものの、自由記述や分析の部分は、今まで人力で行っていた。それらをAIでまとめてもらうと、報告資料の量をコンパクトにでき、概要が伝えやすくなるという。

同学園では、GeminiやNotebookLMが次第に使い勝手が良くなり、機能が増えているため、最近は、Gemini利用も開放することも検討している。
「GeminiやNotebookLMも進化していて、Geminiは何も考えずにすぐに使えるツールになってきました。一方、サテライトAIは、詳細に設定してカスタマイズして使えるので、これからは両輪として使い分けていけたらと思っています」(小國 氏)

生成AIに関しては、最近、教職員から「プロンプトについて教えてほしい」、「便利なプロンプトを共有してほしい」といった要望が多いため、今後は、コミュニティなど、Tipsを共有できる場を作ろうと考えているという。
「中高では、生成AIに関心のある先生方が、関連図書の紹介や効果的な活用方法について情報共有をしていると伺っています。 このように、まずは興味を持っている先生方から積極的に情報を発信していける体制を整えることで、これまで関心のなかった先生方にも取り組みやすい環境が生まれてくるのではないかと思います。」と共立女子学園 法人事務部 情報システム課 情報システムグループ 大澤 氏は話す。
生成AIの導入効果について、小國 氏は、「これまでは、見積りの比較表を作るのに1週間ぐらいかけていましたが、サテライトAIやNotebookLMを利用することで、会議の中でまとめの資料を5分程度で作成し、更に方針決定と次のアクションまで決めることができました。大きな時間短縮になっていると思います」と話す。
同学園では、今後、更にGeminiを活用するため、Gemini for Google WorkspaceのPoC(概念実証)を進めるという。Gemini for Google Workspaceで利用できるDeep Researchでは、インターネット上にあるすべての資料から調査が可能なためだ。
「Gemini for Google Workspaceは、すべてのGoogleのアプリケーションの右側にGeminiのサイドパネルが出てきて、もっとシームレスに使えるようになります。他大学の動向調査などでは、複数の大学の財務状況を比較してコメントを作成することが10分ぐらいでできるようになるなど、業務効率化につながると期待しています」(小國 氏)
最後に小國 氏に、今後導入していく教育機関へのアドバイスを聞くと、「われわれが最初に使うユーザーだとしても、実際に、それが継続的に使えるかどうかを判断する材料を持ってきてくれるのは他の部署の方たちだと考えています。そのため、やはり使ってもらう人を増やしていく施策を実施することに尽きると思います」と利用拡大の施策が重要だと語った。

基本データ
- ●創立:1886年
- ●学生・生徒数:8,533名 (2024年5月1日現在)
- ●所在地:東京都千代田区一ツ橋2-2-1
- ●導入アカウント数:約11,000
学校法人共立女子学園
【ホームページURL】
https://www.kyoritsu-wu.ac.jp/univ/
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