導入校:湘南白百合学園中学・高等学校 様
コロナ禍をオンライン授業で乗り切り、一気にICT化を進めた湘南白百合学園中学・高等学校。デジタルスキルやAIの素養を身に着けることが学校教育にますます求められるようになった今、Chromebook とGoogle Workspace for Educationの機能をフル活用し、先進的な授業や探究活動を実践するとともに、校務の効率化を実現している。
まず、貴学園の概要・特長について教えてください。
湘南白百合学園は、ローマに本部を置き、教育、社会福祉事業に献身しているフランスのシャルトル聖パウロ修道女会を創立の母体とし、「愛ある人として」を教育の指針としています。近年は2020年のパンデミックを経験し、デジタルスキルやAIの素養を身に着けることが学校教育にも求められるようになったことから、本校ではICTを活用した先端的な取り組みと創造的なアプローチを模索し、授業や探究活動で実践しています。

Google Workspace for EducationとChromebookを導入したきっかけは?
2020年春の新型コロナウイルス流行を受けて休校措置がとられる中、「学び」を止めない手段となるオンライン授業を円滑に進める必要がありました。そこで、生徒一人ひとりに端末を配備するとともに、それまで一部機能の利用にとどまっていたGoogle Workspace for Educationを有償ライセンス版に切り替え本格的に導入することを決定しました。Google Workspace for Educationは、海外の教育機関で導入事例が多いことやWindows、Appleなどの他システムよりも管理作業に負荷がかからないことが決め手となりました。
ChromebookはGoogle Workspaceと相性がいいのはもちろんですが、Windowsよりも早い起動、Windows/Apple製品よりも高セキュリティということが大きかったです。本体は低価格、軽量で、Windows/Apple製品よりもランニングコストが安いことに加え、学校ポリシーがクラウド管理だけで簡単に設定可能で導入が迅速に行えることが魅力でした。
Google Workspace for Education を用いて構築したシステムは?
1.Meet、ライブビューイング
・Meet授業、Meetライブビューイング授業参観(コロナ禍対策)、Meet朝礼、オンライン始業式、終業式、ライブビューイングでの学園内合唱コンクール中継、オンライン学校見学会(コロナ禍対策)、オンライン帰国子女入試などを実施。※毎朝の職員朝礼もMeetで実施。職員の自席から参加し所要時間を短縮)
2.Googleカレンダー
・校内での予定全般行事予定、日直や〆切の連絡、下校時刻記載、当日の授業変更の生徒への周知、掃除当番、日替わり弁当メニュー、臨時バスの時刻情報、放課後学習サポートの開室時刻、電車遅延発生(遅刻取り消し)情報などに使用。
・予約スケジュール機能
教員と生徒/教員と保護者との面談予定、保護者による日程選択型での授業参観予約、学校カウンセリングとの予約、会議施設/特別教室の施設予約、レンタル品の予約機能(校車、ビデオ、マイク、ポケットWiFi等)、朝礼Meet情報の記載に使用。
3.Googleサイト
・教員用ポータルサイトの独自作成(勤怠連絡、リンク付きトピックス、本日の行事予定、授業変更、生徒サイト管理、施設予約、機器予約、ライセンス申請管理、Classroom申請、校務の各種情報リンク)
・各学年別の生徒用ポータルサイト独自作成
(連絡掲示板、トピックス、時間割、Classroom一覧、問合せリンク、Chromebookアプリ追加申請、Webフィルター解除申請、Chromebook故障手続き、施設予約、カウンセリング申し込み)
4.Google Apps Script(GAS)
※Googleが提供するアプリケーション開発プラットフォーム●ポータルサイトに組み込む追加機能を自作プログラムで作成
・生徒/職員用トピックスのリアルタイム掲示(ぺーパーレス化)
・職員の勤怠連絡を受けた授業の代替教師の情報共有
・本日の予定をカレンダーより見やすく表示
・日付設定のポップアップによる時間割表の自動表示ツール
●その他
・特別サイトへの組み込みで、生徒の欠席遅刻早退連絡情報を表示
・授業変更情報のフォームから共有カレンダーへの登録プログラム作成
・イベント参加券でのバーコード読み取り入場管理、入場者情報自動表示
・卒業生の進路別情報における入力制御から集計処理
5.Classroom
・年間約400のClassroomが常に稼働中。管理Classは常時1000以上(アーカイブ含む)・各教科だけでなく各クラスHR、各部活、委員会などもすべてClassroomで情報共有
・全中学生(600名)、全高校生(同)が参加する2つのClassroomを生徒が運営
6.Googleフォーム
・無記名アンケート・生徒会選挙(生徒主体)
・保護者からの欠席・遅刻・早退連絡
・各教科、各活動で生徒より「振り返り」を回収
7.Google Chat
・各年度の学年会や担当ごとのスペースで、即共有、即時コミュニケーションを確立8.Chromebook活用
・Cast全クラスに設置してある大型電子黒板にHDMIとGoogleCastを装備。生徒は必要に応じ、自由にキャストし発表している。聖ポーロ祭(文化祭)では生徒が作成した部活紹介のスライドや催しに合わせた動画などを自分のChromebookからキャストして紹介。
導入決定から、本格運用開始までの期間は? また、導入時に悩んだ点、苦労した点があれば教えて下さい。
Google Workspaceは職員には以前から導入していましたが、生徒への導入は、選択授業など小規模にとどまっていました。ところが、突然のコロナ禍対策で、猛スピードで全学年に導入することになりました。導入後はGmailとドライブしか使っていなかった教員に対して、勉強しあえる環境を作ったり、授業で展開した手法をGoogle Chatで全員に情報共有したりするように務めました。
生徒はいち早くGoogleに慣れていましたが、先生方は、作成済の教材がWindowsパソコンに保存されていました。Word、パワーポイントの教材も多くChromebookの本格活用までには少し手間取ることもありましたが、無理をせずWindowsでGoogleを使うことも可能なので大きな問題にはなりませんでした。
ただ、導入してもネットワークが貧弱であれば次第に使われなくなります。このため、導入と同時にWiFi設備の校内配置またネットワーク化も急ピッチで進めました。

担当者、教職員側として、Google Workspace for Educationを導入してよかったと思ったことは?授業や業務に変化はありましたか?
Classroomの活用によりプリント配布、課題回収をペーパーレス化し時間短縮とコスト削減を実現することができました。また、Classroom付属のMeetによりMeet授業が必要に応じてすぐに実施できるため、生徒全員の意識合わせが簡単にできるようになっています。課題の「盗用(独自性)の確認する」でコピペを自動チェックすることができるのは便利ですね。
また、Google Chatにより受電メモが机上からなくなりました。職員全員の参加スペースで校内の緊急連絡がリアルタイムで全員に伝わりますし、防犯対策スペースにおける不審者情報を法人内で即共有できるのは危機管理上からも大いに役立っています。
Chromebookの全デバイス管理機能は学校ルール規制やアプリ規制を入れることができ管理が簡単です。過去の校務の状況が考えられないほど、先生方も校内で活用しています。Google Workspaceの導入後はすべての校務においてペーパーレス化を進めています。
SDGsにも貢献できるのではないかと考えています。
校内、生徒からの評価・評判について。Google Workspace for Educationを活用した各種システムの使い勝手などの評価はいかがですか?
Google Workspace for EducationとChromebookは、すでに校務、授業から切り離せないものになっています。生徒会サイトなども生徒自らGoogleサイトで作成、運用しており、その使いやすさを実感しているようです。また、生徒会や各部活のClassroomに部長の生徒が先生役となり情報配信や収集を自主的に行うなど様々な活用法を生徒で考えているようです。
学校共通のGoogleカレンダーには、行事はもとより、その都度最新のイベントや掃除の当番や日替わり弁当の内容まで情報が記載されています。生徒の利用も多く好評です。
導入後の運用面で、何か気を付けている点があれば教えて下さい。
他の先生が行っている上手な使い方や先生方が授業で活用しやすい機能、実際の使う場面などを頻繁に紹介しています。Google関連は、新しいサービスや、機能が随時、追加/停止されることが多いです。そうした新しい情報の共有に加え、追加機能の調査なども先行して実施し、最新の情報が発信できるよう努めています。
また、Chromebookは、Chromeブラウザの更新サイクルが多いので、Updateの呼びかけを常にしています。
教員、生徒が使うのにストレスを感じることのない、また面倒だと思われない運用方法を心掛けています。
今後、導入する学校・教育機関へのアドバイスがあれば教えて下さい。
Windowsになじみがある教員の方は、無理せずWindowsを使用し、生徒とのコミュニケーションは、ドライブ容量もすべて無料のGoogleで行えばいいと思います。生徒は、機器が安価なChromebookでもすぐになれて使いこなします。教員の方々がGoogleやChromebookの敷居が高くても、生徒はどの端末でも変わらず、すぐに使いこなします。管理が簡単なもの、ランニングコストが安いものをお勧めしたいと思います。Apple系の機器も優秀ですが、単価や保証が高くコスト面においは、特に故障時など保護者の理解が必要かと思います。
基本データ
- ●創立:1936年
- ●生徒数:1010名
- ●所在地:神奈川県藤沢市片瀬目白山4-1
- ●導入アカウント数:1700
- ●URL:https://chukou.shonan-shirayuri.ac.jp/intro
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