コラム

第170回

Google Workspace独自ドメインの取得方法とメール設定の手順

Google Workspace独自ドメインの取得方法とメール設定の手順Google Workspace独自ドメインの取得方法とメール設定の手順

名刺に刷られたメールアドレスが無料のフリーメールのままだと、取引先に与える印象は少なからず変わります。会社としての信用に関わる部分であり、実際に「フリーメールの相手とは取引しない」という方針を掲げる企業も存在します。

Google Workspaceを使えば、使い慣れたGmailの操作性のまま、自社のドメインを使ったメールアドレスを運用できます。本記事では、ドメインを用意する方法から所有権の確認、メールの設定、既存環境からの移行、そして到達率を守るための設定までを順に整理します。

企業がGoogle Workspaceで独自ドメインを使う理由

イメージ

独自ドメインとは、インターネット上における自社の住所にあたるものです。メールアドレスの後半部分に自社の名前が入るだけでなく、管理できる範囲そのものが変わります。

フリーメールで業務を回している場合、アドレスの所有者は利用者個人です。退職した社員のアカウントに会社が介入する手段はありません。独自ドメインであれば、アカウントの発行も停止も、データの引き継ぎも、すべて管理者の権限で実行できます。

見た目の信用と、管理の主導権。この二つが独自ドメインを使う理由です。前者はわかりやすいのですが、実務で効いてくるのはむしろ後者でしょう。

  • ・退職者のアカウントを停止し、必要なメールを後任へ引き継げる
  • ・アドレスの命名規則を統一し、部署異動にも対応できる
  • ・送信ドメインの認証を自社で設定でき、なりすまし対策を打てる

三つ目は近年とくに重要度が上がっています。大手のメールサービスが送信元の認証を厳しく求めるようになり、認証していないドメインからのメールは届きにくくなっているためです。

独自ドメインを用意する二つの方法

イメージ

ドメインをこれから取得するのか、すでに持っているものを使うのか。出発点によって、必要な作業は大きく変わります。

経路作業内容向いている企業
Google Workspaceの申し込み時に取得する申し込みの流れの中でドメインを購入し、必要な設定が自動で行われるこれから会社を立ち上げる、既存のドメインがない
すでに持っているドメインを使う所有権の確認とDNSレコードの変更を自分で行うWebサイトを運用している、既存のメールから移行する

前者は手軽ですが、後からドメインの管理先を移したいときにひと手間かかります。すでに自社サイトを運用しているのであれば、ドメインの管理は従来のレジストラに置いたまま、Google Workspaceへ接続する形が扱いやすいでしょう。

ドメインを新しく取得する場合の選び方

イメージ

これからドメインを取得するなら、文字列と末尾の二つを決める必要があります。どちらも後から変えにくいため、社内で合意を取ってから登録してください。

文字列は、社名の英語表記か、その略称が基本です。長すぎると入力の手間が増え、口頭で伝えるときにも苦労します。ハイフンを含める構成は、電話で説明する場面も想定したうえで判断するとよいでしょう。

末尾については、日本の企業向けに用意されているものは登録の要件が厳しく、そのぶん信頼性が高いと受け止められます。一方、世界共通で使える一般的な末尾は価格が安く、選択肢も豊富です。取引先の層と、想定する費用から選ぶとよいでしょう。

検討項目確認すること見落とすと起きること
文字列の長さ口頭で伝えられるか、入力しやすいかメールアドレスの誤記が増える
末尾の種類登録要件、更新価格、相手に与える印象更新時に想定外の費用が発生する
類似ドメインの存在紛らわしい文字列が第三者に取得されていないかなりすましメールの標的になりやすい
商標との関係他社の権利を侵害していないか後から使用の停止を求められる

三番目は軽視されがちですが、実務では意味があります。自社に似たドメインを第三者が取得すると、取引先が誤って送信したり、なりすましメールに利用されたりする恐れがあります。予算に余裕があれば、紛らわしい表記のドメインもあわせて押さえておくという判断もあります。

既存の独自ドメインをGoogle Workspaceに設定する手順

イメージ

作業はDNSの設定が中心になります。難しくはありませんが、一つ間違えるとメールが止まるため、手順と影響範囲を理解してから着手してください。

ドメインの所有権を確認する

Google Workspaceの申し込み時に、そのドメインが本当に自社のものであることを証明する工程があります。もっとも一般的な方法は、管理コンソールで発行された文字列をDNSのTXTレコードとして登録する方式です。ドメインを管理しているレジストラの管理画面で追加します。

この確認用のレコードは、設定後も削除しないでください。削除すると所有権の確認が解除され、サービスが停止する場合があります。設定作業の記録に「削除しない」と明記しておくと事故を防げます。

MXレコードを切り替える

メールの配送先を決めているのがMXレコードです。既存のメールサーバーを指している設定を、Googleが指定する値へ変更します。現在Googleが案内しているのは、smtp.google.com を優先度1で登録する単一のレコードです。2023年より前からGoogle Workspaceを利用している場合、aspmxで始まる従来の複数レコードのままになっていることがありますが、正常に動作しているのであれば変更する必要はありません。

MXレコードの変更は、切り替えのタイミングを誤ると受信の取りこぼしにつながります。旧サーバーはレコード変更後もしばらく稼働させたままにし、残っているメールがないことを確認してから停止してください。切り替え作業は、業務量の少ない時間帯に実施することをおすすめします。

DNSの変更が世界中に行き渡るまでには時間差が生じます。数分で反映される場合もあれば、数時間かかる場合もあるため、直後に届かないからといって設定を戻さないでください。

設定するDNSレコードの全体像

DNSの画面はレコードの種類が並んでいて、慣れないと何を触ってよいかわかりません。Google Workspaceの利用にあたって関わるものを整理しておきます。

レコードの種類役割触れる際の注意
MXメールの配送先を指定する変更した瞬間から新しい環境へ配送される
TXT(所有権確認)ドメインが自社のものであることを証明する設定後も削除しない
TXT(SPF)送信を許可するサーバーを宣言する複数の宣言を並べず、一つにまとめる
TXT(DKIM)電子署名の検証に使う鍵を公開する管理コンソールで生成した値をそのまま登録する
TXT(DMARC)認証に失敗したメールの扱いを指示する緩やかな設定から段階的に強める
A、CNAMEWebサイトなどの接続先を指定するメールの設定と無関係。誤って削除しない

最後の行が重要です。メールの設定を整理する作業のつもりで、Webサイトを指しているレコードまで削除してしまう事故が実際に起きています。DNSを触る前に、現在の設定をすべて画面ごと保存しておいてください。

また、SPFの宣言は一つのドメインに一つだけという決まりがあります。既存のメール配信サービスを使っている場合、その宣言に追記する形で構成してください。二つ並べると、どちらも正しく機能しなくなります。

Google Workspaceのメールアドレス設計を先に決める

イメージ

技術的な設定より先に決めるべきものがあります。どんな形式のアドレスを、誰に、どういう基準で発行するかという設計です。

姓名をつなげる形式、名字だけの形式、イニシャルを使う形式。どれを選んでも動きますが、同姓の社員が入社したときの扱いを決めておかないと、後から例外が積み上がります。採用が続く企業ほど、この検討は先送りにしないほうがよいでしょう。

あわせて、個人のアドレス以外に必要なものを洗い出します。Google Workspaceでは、一人のユーザーに複数の別名アドレスを追加費用なしで設定でき、部署の窓口となるグループアドレスもライセンスを消費せずに作れます。

用途使う仕組みライセンス
社員個人のメールアドレスユーザーアカウント人数分が必要
一人が複数の役割で送受信する別名メールアドレス不要
部署や案件の共有窓口グループアドレス不要

代表窓口をユーザーアカウントとして作ってしまう例をよく見かけますが、ライセンス費用が余分に発生します。共有して受信するならグループアドレスが適しています。

既存メールからの移行を安全に進める

イメージ

過去のメールをどう扱うかは、移行計画の中心にある問題です。捨てるという選択が取れない以上、移す手段を用意しなければなりません。

Google Workspaceにはデータ移行の機能が用意されており、既存のメールサーバーから過去のメールを取り込めます。対応している方式や、移行できる範囲には条件があるため、本番の前に少人数で試験移行を行い、所要時間と結果を確認しておきましょう。

現実的な進め方としては、まず情報システム部門を含む少人数で先行移行し、二週間ほど運用したうえで全社へ広げる方法が定着しています。先行組が実際につまずいた箇所を手順書へ反映できるため、全社展開時の問い合わせを減らせます。

なお、代理店経由での契約であれば、リセラー転送という仕組みでドメインやデータを維持したまま契約先を切り替えられます。すでにGoogle Workspaceを利用している企業がサポート体制を見直したい場合にも、データを失わずに移れる点は覚えておくと役立ちます。

切り替え当日の段取りと切り戻しの備え

イメージ

メールの切り替えは、失敗したときの影響が全社に及びます。作業そのものは短時間で終わりますが、段取りには時間をかけてください。

実施の日時は、業務量の少ない時間帯を選びます。金曜の夜や連休の初日を選ぶ組織が多いのですが、問題が起きたときに対応できる人がいるかどうかも考えておきたいところです。誰も出社していない時間帯の作業は、発見が遅れます。

作業の前に、切り戻しの手順を文書にしておきましょう。変更前のDNS設定を控え、どこまで戻せば元の状態になるかを明記します。実際に切り戻す場面はまれですが、手順があるという事実が判断の速さを生みます。

  • ・変更前のDNS設定を、画面の記録と文字の両方で保存する
  • ・切り替え後に確認する項目を、事前に一覧化しておく
  • ・社外の関係者へ、作業日時とその影響をあらかじめ知らせる
  • ・旧環境は即座に停止せず、一定期間は稼働させたままにする

二つ目の確認項目には、社内から社内、社内から社外、社外から社内という三方向の送受信を含めておきましょう。一方向だけ確認して完了と判断すると、社外からのメールが届かない状態に気づくのが翌営業日になります。

切り替えの直後には、利用者からの問い合わせが集中します。想定される質問と回答を用意し、問い合わせ窓口を明示しておくと混乱を抑えられます。この準備の有無は、移行に対する社内の評価にもつながります。

独自ドメインメールの到達率を守る認証設定

イメージ

ここは設定手順の解説から抜け落ちやすい領域ですが、実務ではもっとも重要かもしれません。設定していないと、送ったメールが相手に届かないという事態が起こります。

送信ドメイン認証と呼ばれる仕組みは三層になっています。SPFは、そのドメインから送信してよいサーバーを宣言するものです。DKIMは、送信したメールに電子署名を付けて改ざんとなりすましを検知できるようにします。DMARCは、SPFとDKIMの検証に失敗したメールをどう扱うかを、受信側に指示する仕組みです。

大手のメールサービスは、これらの認証を満たさない送信元からのメールを厳しく扱う方針へ移行しました。認証設定は、いまや前提条件といえます。独自ドメインを設定する際に、あわせて構成しておきましょう。

DKIMは管理コンソールで鍵を生成し、表示された値をDNSへ登録して有効化します。DMARCは緩やかな設定から始め、レポートを確認しながら段階的に厳しくしていく進め方が安全です。いきなり強い設定を適用すると、社内から送っている正当なメールまで届かなくなる恐れがあります。

複数の独自ドメインを一つの環境で扱う方法

イメージ

事業ごとに別のドメインを持っている、社名変更で旧ドメインも残している。こうした状況でも、環境を分ける必要はありません。

Google Workspaceでは、追加のドメインを二つの形で登録できます。ドメインエイリアスとして登録すると、既存のユーザー全員が新しいドメインでもメールを受け取れるようになります。社名変更や表記違いのドメインを併用したい場合に適した方法です。

一方、セカンダリドメインとして登録すると、そのドメイン専用のユーザーを別途作成できます。事業部ごとに異なるドメインで運用したい場合はこちらを選びます。どちらも同じ管理コンソールから一元管理できるため、環境を分けるより運用は軽くなります。

ただし、ドメインを増やすほど認証設定も増えます。追加したドメインについてもSPFとDKIM、DMARCを設定しなければ、そのドメインからのメールは届きにくくなります。登録して終わりにせず、認証設定まで進めておきましょう。

独自ドメインの設定作業でつまずきやすい点

イメージ

相談を受ける内容には共通した傾向があります。あらかじめ知っておけば、避けられるものがほとんどです。

つまずく場面原因対処
所有権の確認が完了しないTXTレコードの登録先が誤っている、または反映待ちレジストラの管理画面で登録内容を確認し、時間をおいて再試行する
メールが届かないMXレコードが旧サーバーを指したままになっているDNSの設定を確認し、旧レコードを削除する
送信したメールが迷惑メール扱いされるSPFやDKIMが未設定、または内容に誤りがある認証設定を見直し、受信側の判定結果を確認する
Webサイトが表示されなくなったDNSレコードを整理する際に、サイト用のレコードまで削除した変更前の設定を控えておき、必要なレコードを復元する

最後の項目は、実際に起きている事故です。DNSの設定を変更する前に、現在の内容をすべて記録しておきましょう。作業自体は数分でも、記録がなければ復旧に何時間もかかります。

独自ドメインのメール環境を整えて信用と管理性を高めましょう

イメージ

Google Workspaceで独自ドメインを使う作業は、DNSの設定を理解していれば難しくありません。難所は手順そのものではなく、切り替えのタイミングと移行の段取りにあります。

とくにメールは、止まった瞬間に全社の業務が止まる仕組みです。試行錯誤しながら本番環境を触るのは避けたいところでしょう。経験のある相手に立ち会ってもらうだけでも、心理的な負担は大きく変わります。

サテライトオフィスはGoogle Cloudプレミアパートナーとして、ライセンス販売から導入、運用サポートまでをワンストップで提供しています。2026年3月時点で5,000社以上のGoogle Workspace導入を支援してきました。導入支援は無料で、コアエンジニアチームによる技術支援やGoogle Apps Scriptの個別開発にも対応いたします。

独自ドメインの設定や既存メールからの移行をご検討でしたら、サテライトオフィスのGoogle Workspace導入支援の詳細はこちらから現在の環境をお聞かせください。移行の段取りから当日の作業までご相談いただけます。

※プライバシーポリシはこちら

TOPへ
GoogleEnterpriseProfessional Google Apps for Business