第92回



共有ドライブは、Google Workspaceが提供するチーム向けのクラウドストレージ機能です。個人が使うマイドライブとは異なり、組織やチームのメンバー全員が同じファイルを共同で管理・利用できる仕組みになっています。
ビジネスシーンでのファイル管理において、「担当者が個人のマイドライブで資料を管理しており、他のメンバーがアクセスできない」「担当者の退職時にファイルの引き継ぎが煩雑になる」といった課題を抱える企業は少なくありません。共有ドライブは、こうした組織のファイル管理における課題を解決するために設計されたストレージ機能です。
共有ドライブに保存されたファイルは、特定の個人ではなく「組織(ドライブ)」が所有します。そのためメンバーが退職したり組織を離れたりしても、ファイルは共有ドライブに残り続けます。組織の資産を安全に守り、継続的に活用できる環境を構築できる点が、共有ドライブの最大の強みです。
共有ドライブを利用するには、Google Workspace Business Standard以上のプランが必要です。Business Starterプランでは共有ドライブ機能を使用できないため、現在のプランを事前に確認してください。
Google Workspaceの導入を検討している場合は、プラン選定の段階で共有ドライブの利用要件を考慮することが重要です。

Google Driveには「マイドライブ」と「共有ドライブ」の2種類のストレージがあります。日常的にマイドライブを使っているユーザーにとって、共有ドライブとの違いを正しく理解することは、業務効率化の第一歩です。両者は見た目が似ていますが、所有権の概念やメンバー管理の仕組みが根本的に異なります。
以下の表で、マイドライブと共有ドライブの主な違いを整理します。
| 項目 | マイドライブ | 共有ドライブ |
|---|---|---|
| ファイルの所有者 | 個人(Googleアカウント) | 組織(ドライブ) |
| アカウント削除時のファイル | 削除されるリスクあり | ドライブ内に残り続ける |
| 利用可能なアカウント | 個人・ビジネス問わず | Google Workspaceのみ |
| 対象プラン | すべてのプラン | Business Standard以上 |
| メンバー管理 | ファイルごとに個別設定 | ドライブ単位で一括管理 |
| 外部ユーザーの招待 | 可能 | 管理者設定によって制御 |
この比較を見ると、組織でのファイル管理には共有ドライブが適していることがわかります。以降では、主な違いをさらに詳しく説明します。
マイドライブと共有ドライブの最も根本的な違いは、ファイルの所有権です。マイドライブに保存されたファイルの所有者は、そのGoogleアカウントを持つ個人です。一方、共有ドライブに保存されたファイルの所有者は、個人ではなく「ドライブ(組織)」そのものになります。
所有権が個人に紐付かないことで、共有ドライブではメンバーが誰であってもファイルが組織の資産として管理されます。誰かが作成したファイルでも、ドライブのメンバー全員がアクセスできるため、情報共有の障壁がなくなります。また、ファイルのアクセス権限はドライブ単位で管理されるため、個別のファイルごとに共有設定を行う手間を省けます。
個人のマイドライブでファイル管理を行っている組織では、誰が何のファイルを持っているかを把握しにくくなりがちですが、共有ドライブを使うとファイルの所在が明確になります。
マイドライブを使っている場合、ファイルの所有者であるアカウントが削除されると、そのファイルも削除されるリスクがあります。Google管理コンソールから事前に対処することは可能ですが、退職者のアカウント処理のタイミングによっては業務に支障が生じる場合があります。特に、退職する担当者が大量のファイルをマイドライブで管理していた場合は、引き継ぎの漏れが発生しやすくなります。
共有ドライブでは、ファイルは個人のアカウントに紐付いていないため、メンバーが退職してアカウントが削除されても、共有ドライブ内のファイルはそのまま残ります。担当者の変更や退職が発生しても、ファイルを失うリスクがありません。引き継ぎの作業も、新しい担当者を共有ドライブのメンバーとして追加するだけで完了するため、業務継続性の確保に大きく貢献します。人員異動が多い組織や、長期間にわたるプロジェクトを抱える企業にとって、特に重要なメリットです。
マイドライブは、個人のGoogleアカウント(@gmail.comなど)でも利用できます。ファイルを他のユーザーと共有することも可能ですが、あくまで個人が管理するストレージである点は変わりません。
共有ドライブは、Google WorkspaceのビジネスアカウントまたはGoogle Workspace for Educationアカウントでのみ利用できます。個人のGoogleアカウントで共有ドライブを作成することはできません。なお、外部ユーザーをメンバーとして追加することは設定上は可能ですが、Google管理コンソールの設定によって組織として制限することができます。機密情報を扱う共有ドライブでは、外部ユーザーの追加を制限する設定を行うことを推奨します。

共有ドライブでは、メンバーごとに5段階の権限を設定できます。適切な権限を割り当てることで、重要なファイルを保護しながら、必要なメンバーがスムーズに作業できる環境を整えられます。権限の種類と操作できる内容を把握したうえで、役割に合った設定を行いましょう。
| 権限 | 閲覧 | コメント | 編集・追加 | 削除 | メンバー管理 | ドライブ設定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| マネージャー | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| コンテンツマネージャー | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × |
| 投稿者 | ○ | ○ | ○ | × | × | × |
| 閲覧者(コメント可) | ○ | ○ | × | × | × | × |
| 閲覧者 | ○ | × | × | × | × | × |
各権限の具体的な役割と、どのようなメンバーに付与するかを以下で説明します。
マネージャーは、共有ドライブにおける最上位の権限です。ファイルやフォルダの閲覧・編集・削除に加えて、メンバーの追加・削除、権限の変更、ドライブの設定変更、ドライブ自体の削除までサポートしています。
共有ドライブを管理する責任者、たとえば部門長やIT管理者などに付与する権限として適切です。マネージャーは複数人設定できるため、担当者の不在時に備えて複数名をマネージャーにしておくと運用が安定します。
コンテンツマネージャーは、ファイルやフォルダに対してほぼすべての操作(追加・編集・移動・削除)を行える権限です。ただし、メンバーの管理やドライブ自体の設定変更はできません。実際に共有ドライブ内のコンテンツを管理・整理する担当者に適した権限であり、日常的なファイル管理を担うメンバーに付与するケースが多い設定です。
投稿者は、ファイルやフォルダの追加と編集ができる権限ですが、削除はできません。誤ってファイルを削除するリスクを防ぎたい場合や、ファイルの作成・更新のみを担う担当者に付与するとよい権限です。共有ドライブに新しいドキュメントや資料を追加する作業が多いメンバーに適しています。
閲覧者(コメント可)は、ファイルの閲覧とコメントの追加ができる権限です。ファイルの編集や削除はできません。レビューや確認作業を行う担当者、あるいは内容を参照するだけで編集権限を持たせたくない関係者に適しています。承認フローがある組織では、承認者をこの権限に設定し、コメントで意見を伝えてもらうといった運用もできます。
閲覧者は、ファイルの内容を見るだけの権限です。コメントの追加もファイルの編集もできません。機密性の高いファイルを参照のみ許可したい場合や、広いメンバーに情報を公開する場合に適しています。権限設定は、共有ドライブのメンバー管理画面から随時変更できるため、業務内容や役割の変化に合わせて見直すことが重要です。

共有ドライブの作成自体は、数ステップで完了します。ただし、利用にはGoogle管理コンソールで共有ドライブの利用が許可されていることが前提となります。IT管理者があらかじめ設定を有効化しているかどうかを確認してから作業を始めてください。
PCのブラウザからGoogle Driveにアクセスし、以下の手順で共有ドライブを作成できます。
作成した共有ドライブには、作成者が自動的にマネージャー権限で追加されます。その後、画面右上のメンバー管理アイコンから他のメンバーのメールアドレスを入力して招待できます。招待時に権限を選択できるため、メンバーの役割に応じた権限を最初から設定しましょう。
共有ドライブを作成したら、以下の設定を確認・調整することを推奨します。
まず、メンバーの権限設定を見直します。デフォルトでは作成者のみがマネージャーとなっているため、実際に管理を担当するメンバーを適切な権限で追加します。複数名をマネージャーにしておくと、担当者不在時のリスクを軽減できます。
次に、外部共有の設定を確認します。共有ドライブの設定メニューでは、「このドライブのメンバー以外のユーザーとのファイル共有を許可する」「Google Workspace以外のユーザーをメンバーとして追加することを許可する」といった項目を個別に制御できます。機密情報を扱う共有ドライブでは、これらを制限することでセキュリティを高められます。
Google管理コンソールからは、組織全体の共有ドライブ作成権限を制限したり、外部メンバーの追加を禁止したりといった組織レベルの設定も可能です。IT管理者と連携しながら、組織のセキュリティポリシーに合った設定を行うことが大切です。

共有ドライブは多くのメリットを持つ機能ですが、いくつかの制限事項と注意点があります。事前に把握しておくことで、運用上のトラブルを防ぎ、適切な設計ができます。
まず、利用数の上限として以下の制限があります。
大規模な組織や大量のファイルを扱う場合は、複数の共有ドライブに分けて管理するなど、設計段階で考慮しておくことが必要です。
マイドライブのファイルは、自分が所有するファイルに限り共有ドライブに移動できます(移動先でコンテンツマネージャー以上の権限が必要です)。ただし、他者が所有するファイルが含まれる場合は移動できないため、「ショートカット」機能が代替手段となります。なお、共有ドライブ内のファイルをマイドライブに移動することはできません(コピーは可能です)。
また、Google Drive for desktopを使用してファイルをローカルに同期する場合、共有ドライブの同期設定はマイドライブとは別に個別に行う必要があります。初めて共有ドライブを導入するメンバーへは、ツールの使い方の説明とあわせて同期設定の案内も行うと、スムーズな移行につながります。さらに、共有ドライブに保存されたファイルのごみ箱は、一定期間で自動的に削除される仕組みがあるため、誤削除に気づいた場合は早めに対処することが重要です。

共有ドライブは、さまざまなビジネスシーンで効果を発揮する機能です。組織の規模や業種を問わず、ファイル管理の効率化とセキュリティ向上に役立てられます。ここでは、代表的な3つの活用シーンを紹介します。
営業部、経理部、人事部といった部門ごとに共有ドライブを作成し、各部門のファイルを一元管理する方法は、最もオーソドックスな活用パターンです。部門ごとに独立したドライブを持つことで、他部門からのアクセスを制限しながら、部門内での情報共有をスムーズに行えます。
部門別ドライブでは、部門長や管理職をマネージャーまたはコンテンツマネージャーに設定し、一般の部門メンバーを投稿者や閲覧者(コメント可)に設定するパターンが一般的です。部門全体が参照する規程類やテンプレートは共有ドライブで管理し、誰でもアクセスできる状態にしておくと、業務効率が上がります。
特定のプロジェクトに関わるメンバーだけを集めた共有ドライブを作成する活用方法もよく使われています。社内外のメンバーが混在するプロジェクトでも、共有ドライブを通じてファイルを一元管理できます。プロジェクトごとに独立したドライブを設けることで、ファイルの所在が明確になり、後から内容を追跡しやすくなります。
プロジェクトが完了した後は、ドライブのメンバーを閲覧者のみに変更したり、設定で編集を制限したりすることで、完了後もファイルを参照できる状態を保ちながら、誤った更新を防ぐことができます。プロジェクト管理ツールと組み合わせて運用すると、さらに体系的なファイル管理が実現します。
役員向けの資料や人事情報、財務データなど、限られたメンバーのみがアクセスすべき機密ファイルの管理にも共有ドライブは適しています。アクセスできるメンバーを明示的に指定できるため、不特定多数がアクセスできるリスクを排除できます。マイドライブでファイルを個別に共有している場合と比較して、権限の付与・剥奪が一元的に管理できる点がセキュリティ面での大きな利点です。
権限を「閲覧者」に設定することで、ファイルの内容は確認できますが編集はできません。
なお、ダウンロードはデフォルトで許可されているため、ダウンロードも制限したい場合は共有ドライブの設定で「ビューアとコメント投稿者によるダウンロード、印刷、コピーを禁止する」を別途有効にする必要があります。このように、必要な情報を必要な人にのみ提供し、かつ内容の改ざんを防ぐ運用が、共有ドライブの権限設定によって実現できます。
また、外部共有を制限する設定と組み合わせることで、機密情報が組織外に流出するリスクをさらに低減できます。
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共有ドライブの導入は、単にストレージを切り替えるだけではなく、組織のファイル管理のあり方を見直す良い機会です。部門ごとの設計方針、権限の運用ルール、既存ファイルの移行計画など、検討すべき事項は多岐にわたります。
サテライトオフィスでは、組織の規模や業種、現状の課題に合わせて最適な導入プランを提案するため、初めてGoogle Workspaceを導入する企業から、すでに利用しているが活用しきれていない企業まで幅広く対応しています。
「共有ドライブをどのように設計すればよいかわからない」「現在マイドライブで管理しているファイルを共有ドライブに移行したい」「権限設定のベストプラクティスを知りたい」「Google Workspaceのプランをどれにすべきか迷っている」――こうしたお悩みに対して、専任のエキスパートが丁寧に対応します。
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