第23回


「社内データが複数のツールに分散していて、必要な情報を探すのに時間がかかる」「生成AIを導入したいが、セキュリティや運用管理に不安がある」と、IT担当者は悩むことが多いでしょう。
Gemini Enterpriseを活用すれば、Google Workspaceや外部SaaSなどの業務データと連携し、社内情報の検索・分析・業務支援を安全に進められます。
本記事では、Gemini Enterpriseでできることや料金プラン、他のGeminiサービスとの違い、導入に向いている企業を解説します。
この記事を読めば、Gemini Enterpriseが自社に必要なサービスかがわかります。ぜひAI活用を全社に広げる際の参考にしてください。

Gemini Enterpriseは、社内データの活用やセキュリティ管理に課題を感じている企業に適したサービスです。ここでは、特に導入効果を実感しやすい3つのケースを紹介します。
Gemini Enterpriseは、社内資料やマニュアル、顧客情報、問い合わせ履歴などが複数の場所に分散してしまっている企業に向いています。Gemini Enterpriseを活用すれば、分散したデータを横断的に検索し、AIが回答や分析結果を提示できるからです。
部署ごとに情報の保管場所が異なると、必要な資料を探すだけで時間がかかり、確認作業が担当者の負担になりがちです。問い合わせ対応の担当者が過去のやり取りや関連マニュアルを一度に確認できるようになり、確認の手間と回答までの時間を減らせます。
情報管理の負担を軽くしたい企業にとって、有力な選択肢といえます。
Google Workspaceだけでなく、Microsoft 365やOneDrive、SharePoint、Jira、Confluenceなど、複数のツールを併用している企業に向いています。
Gemini Enterpriseは、これら複数のSaaSにまたがるデータをまとめて扱えるため、業務の分断を減らせます。
また部署ごとに使用しているツールが異なっており、情報管理に課題を感じている企業にとっても便利です。
複数のシステムを横断して情報を活用したい企業ほど、導入のメリットを感じやすいといえます。
AIを導入したい一方で、情報漏えいや権限管理に不安を抱えている企業に向いています。
生成AIの利用が広がるなかで、「どの社員がどのデータをAIに扱わせているのか把握できない」という不安を持つ企業が増えているためです。
Gemini Enterpriseでは、ユーザー権限やポリシー、エージェントの利用状況を一元的に管理できます。たとえば、既存システムのアクセス権限をもとに社員が閲覧できる情報の範囲を制御したり、誰がどのエージェントでどのデータを利用しているかを確認したりできます。
管理体制を整えながらAIを活用したい企業にとって、安心して全社展開を進めやすい設計です。

Gemini Enterpriseは、企業が安全にAIを運用するためのセキュリティ・ガバナンス機能を備えています。ここでは、導入前に確認しておきたい3つの観点を解説します。
Gemini Enterpriseでは、ユーザーごとにアクセスできるデータや利用できる機能を管理できます。
AIが社内データを扱う以上、本来閲覧できない情報まで参照されてしまうと、情報漏えいにつながりかねません。具体的には、既存システムのアクセス権限(ACL:アクセス制御リスト)をもとに、社員が閲覧できる情報の範囲を制御しながらAIを活用できます。
さらに、エージェントの利用状況を確認できるため、誰がどのようにAIを使っているかを把握しやすくなります。権限と利用状況の両面を管理できる点が、安全な運用を支えます。
Gemini Enterpriseで扱うデータの所有者は顧客企業であり、企業側がデータを管理する前提で利用できます。
社内資料や業務データをAIに扱わせる際は、そのデータがどのように利用されるかが気がかりになります。Google公式では、Gemini EnterpriseのBusiness・Standard・Plusプランにおいて、プロンプトや出力などのデータはGoogleのモデルや他社のモデルのトレーニングには使用されないと説明されています。あわせて、顧客データを第三者に販売したり、広告目的で利用したりしないことも明記されています。
データの取り扱い方針を確認しながら導入を進められるため、機密性の高い情報を扱う企業でも検討しやすいといえます。
参照:Gemini Enterprise app FAQs|Google Cloud
Gemini Enterpriseは、企業のセキュリティ要件に沿ってAIを活用するための管理機能を備えています。
組織として安全にAIを運用するには、ユーザー認証やアクセス権限、操作履歴を適切に管理することが欠かせません。Gemini EnterpriseのStandard・Plusプランでは、GoogleやサードパーティのIDシステム、ユーザーグループと連携し、ユーザー認証やデータアクセス制御を構成できます。
主な管理機能は以下のとおりです。
このように、企業はGemini Enterpriseを導入することで、セキュリティやコンプライアンス要件を満たしながらGeminiを活用できます。
参照:Gemini Enterprise security overview|Google Cloud Documentation

Gemini Enterpriseは、社内データの横断検索からAIエージェントの作成、業務の自動化までを幅広く支援します。ここでは、代表的な5つの機能を紹介します。
Gemini Enterpriseは、社内外に分散したデータを横断検索し、必要な情報をAIが回答として提示します。
複数のシステムに情報が分かれていると、資料の確認や問い合わせ対応に時間がかかりがちです。Gemini Enterpriseは、Googleドライブをはじめ、Microsoft OneDriveやSharePoint、Jira、Confluenceといったデータソースに接続できます。そのため、担当者は各ツールを個別に開かなくても、一度の検索で必要な情報をまとめて確認できます。
部署ごとに情報が分散している企業でも、横断検索によって資料確認や問い合わせ対応の手間を減らしやすくなります。
Gemini Enterpriseでは、Googleが提供する事前構築済みのエージェントを利用できるのが大きなメリットです。
AI活用をゼロから設計するのは、専門知識や工数の面でハードルが高い作業です。具体的には、複雑なテーマを調査して報告書にまとめる「Deep Research」や、資料の要約・整理に強い「NotebookLM Enterprise」などのエージェントが用意されています。
既存のエージェントを活用することで、自社で一から仕組みを構築しなくても、業務効率化を始めやすくなります。
Gemini Enterpriseでは、自社の業務に合わせたAIエージェントを作成できます。
事前構築済みのエージェントだけでは、自社特有の業務まではカバーしきれない場合があります。Gemini Enterpriseのノーコードのツールを使えば、専門的な開発スキルがなくても、特定業務に特化したエージェントを設計できます。
たとえば、社内FAQ対応や申請フローの案内、営業資料の作成支援など、現場の業務に合わせたエージェントを作成することも可能です。
標準機能では補えない要望にも、柔軟に対応しやすくなります。
Gemini Enterpriseは、複数の業務アプリにまたがるワークフローの自動化に対応しています。
担当者が複数のツールを行き来しながら進める定型業務は、時間も手間もかかります。具体的には、Google WorkspaceやMicrosoft 365、OneDrive、SharePoint、Jiraなど、複数のアプリをまたぐ処理を自動化できます。
手作業で行っていた定型業務を減らすことで、担当者は判断や企画といった付加価値の高い業務に集中しやすくなります。
Gemini Enterpriseでは、エージェントの利用範囲やアクセス権を管理できます。
エージェントの活用が社内に広がるほど、用途や利用者が増え、想定外の使われ方が統制上の課題として挙げられるためです。たとえば、特定のエージェントを部署やグループ単位で利用可能にしたり、各エージェントがどの程度使われているかを可視化したりできます。
エージェントを安全に配布・運用できる設計のため、全社規模でAI活用を広げたい企業でも、現場への展開と管理を両立しやすくなります。

Gemini Enterpriseは、部門ごとの課題に合わせて幅広く活用できます。代表的な活用イメージは以下のとおりです。
| 部門 | 活用イメージ |
|---|---|
| 情報システム部門・総務部門 | 社内問い合わせやナレッジ検索を効率化し、対応の負担を軽減する |
| 営業部門 | 顧客情報の整理や提案準備を支援し、商談前の準備時間を短縮する |
| 人事部門 | 採用やオンボーディング業務を効率化する |
| カスタマーサポート部門 | 過去の対応履歴やFAQを横断検索し、回答までの時間を短縮する |
| マーケティング部門 | 過去の施策データや市場情報の調査を効率化し、企画立案のスピードを高める |
このようにGemini Enterpriseは、データの確認・集計を支援し、定型的な処理にかかる工数を削減してくれます。社内のさまざまな業務で効果を発揮しやすいサービスです。
サテライトオフィスでは、Gemini Enterpriseの導入検討から初期設定、運用・活用まで、貴社の状況に合わせてサポートします。AI活用の進め方に迷われている場合は、まずお気軽にご相談ください。
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Geminiには名称の似たサービスが複数あり、違いが分かりにくいと感じる方も少なくありません。ここでは、混同しやすい3つのサービスとの違いを整理します。
Gemini Enterpriseは、個人向けのGeminiアプリやGoogle Workspace版Geminiとは利用目的が異なります。
Google Workspace版Geminiは、Gmailやドキュメント、スプレッドシートなど、Workspaceアプリ内での作業支援が中心です。一方でGemini Enterpriseは、社内データ連携やエージェント作成、権限管理まで含めて、企業全体でAIを活用するためのサービスです。
アプリ内の作業効率を高めたい場合はWorkspace版Gemini、社内データを横断して全社的にAIを活用したい場合はGemini Enterpriseが向いています。
NotebookLM Enterpriseは、資料の要約や質問応答、ナレッジ整理に強いAIノートブックです。
Gemini Enterpriseとは、得意とする使い方が異なります。NotebookLM Enterpriseが特定の資料を深く読み解くことに強い一方で、Gemini Enterpriseは社内データや複数ツールを横断して活用することに強みがあります。
資料単位で深く調べたい場合はNotebookLM Enterprise、社内に分散したデータを横断して活用したい場合はGemini Enterpriseが適しています。
Gemini Enterprise Agent Platformは、技術チームがAIエージェントを構築・展開・管理するための開発基盤です。
Gemini Enterpriseが現場の利用者によるAI活用を進めるためのサービスであるのに対し、Agent Platformは開発者が独自エージェントを本格的に開発・運用するための基盤です。なお、両者は同じGemini Enterpriseのエコシステムに含まれますが、契約は別々に必要です。
利用者向けのAI活用を広げたい場合はGemini Enterprise、独自エージェントを開発・運用したい場合はAgent Platformが関係します。

Gemini Enterpriseには、企業の規模やセキュリティ要件に合わせて選べる複数のプランが用意されています。代表的な3つのプランを比較すると、以下のとおりです。
【料金プラン比較表】
| 比較項目 | Business | Standard | Plus |
|---|---|---|---|
| 月額料金(年間契約・1ユーザー) | 約21米ドル | 約30米ドル | 約30米ドル〜※要見積もり |
| 主な対象 | 300名までのチーム・小規模ビジネス | 人数無制限・全社導入 | 高度なガバナンスが必要な組織 |
| IT初期設定 | 不要 | 必要 | 必要 |
| 事前構築エージェント(Deep Research・NotebookLM Enterpriseなど) | 一部のみ | 利用可能 | 利用可能 |
| サードパーティ製エージェント連携 | × | 〇 | 〇 |
| ガバナンス機能 | 基本 | 標準 | 高度 |
参照:Gemini Enterprise app FAQs|Google Cloud
※上記は2026年6月時点の米ドル建ての公開価格(年間契約・1ユーザーあたり月額)です。月単位で契約するフレキシブルプランや、為替・契約条件により金額は変動します。
ストレージ容量や利用できるエージェント、ガバナンス機能の範囲がプランごとに異なるため、自社の人数規模とセキュリティ要件に合わせた選定が大切です。

Gemini Enterpriseは多機能なサービスですが、すべての企業にとって最適とは限りません。次のようなケースでは、まず利用目的を整理したうえで検討することをおすすめします。
これらのケースでは、Google Workspace版Geminiなど、より手軽なサービスで目的を満たせることがあります。
Gemini Enterpriseの強みは、社内データの横断活用やエージェントによる業務自動化にあります。そのため、まずは「何を効率化したいのか」を明確にしたうえで、自社に必要な機能を見極めることが、導入後のミスマッチを防ぐポイントです。

導入効果を最大化するには、自社の課題に合わせた機能の選定や、セキュリティ・権限設計が欠かせません。サテライトオフィスでは、Gemini Enterpriseの導入検討から初期設定、運用・活用まで、貴社の状況に合わせてサポートします。
Google認定パートナーとしての知見を活かし、「どのプランが自社に合うか分からない」「導入後の運用が不安」といった疑問にもお応えします。Gemini Enterpriseの導入を検討されている場合は、まずお気軽にご相談ください。
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Gemini Enterpriseに関して、企業のご担当者様から寄せられることの多い質問に回答します。
A.Gemini Businessは別のサービスではなく、Gemini Enterpriseのプランの1つ、Gemini Enterprise Businessです。小規模ビジネスや300名までのチームに向けたプランを指します。
高度なセキュリティやコンプライアンス対応、より多くの利用上限、無制限のシート数(利用人数)が必要な場合は、Standard・Plusプランの検討をおすすめします。自社の規模と求める要件に応じて選び分けるとよいでしょう。
A.Google Workspace版Geminiは、Gmailやドキュメント、スプレッドシートなど、Workspaceアプリ内での作業支援が中心です。
一方でGemini Enterpriseは、Google Workspaceに加えてMicrosoft 365や外部SaaSなどにも接続し、社内データを横断して活用できます。AIエージェントの作成やワークフローの自動化、権限管理まで行いたい場合は、Gemini Enterpriseの導入を検討するとよいでしょう。
A.Google公式では、Gemini EnterpriseのBusiness・Standard・Plusプランにおいて、データの所有者は顧客であると説明されています。
プロンプトや出力などのデータは、Googleのモデルや他社のモデルのトレーニングには使用されないと明記されています。機密性の高い情報を扱う場合でも、データの取り扱い方針を確認しながら導入を進められます。
参照:Gemini Enterprise app FAQs|Google Cloud

Gemini Enterpriseは、社内外に分散したデータの横断検索や、AIエージェントによる業務自動化、全社的な権限管理までを一元的に行える企業向けのAIプラットフォームです。
社内データの活用やセキュリティ統制に課題を感じている企業にとって、AI活用を安全に全社へ広げるための有力な選択肢といえます。一方で、自社に必要な機能やプランの見極めには、導入前の整理が欠かせません。
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