

第13回
Chrome Enterprise Premiumで
高度なセキュリティを実現|機能・価格


「VPN接続が遅くて業務に支障が出ている」「生成AI経由の情報漏洩を防ぎたいが、どう制限すべきか?」このような課題を抱えていませんか。セキュリティを強固にするほど利便性が損なわれ、現場の生産性が下がってしまうのは、多くの企業が直面する運用の壁といえます。
本記事では、Chrome Enterprise Premiumの主要機能から、具体的な導入事例、そしてGoogle Workspaceとの併用によるメリットまで解説します。
この記事を読めば、社内の機密資産と多様な働き方を守り抜くために、取り組むべき最適なセキュリティ戦略が見つかります。
Chrome Enterprise Premiumとは?|
無料版との違い

Chrome Enterprise Premium(CEP)は、私たちが普段使っているChromeブラウザを、ビジネスの現場に欠かせない強固なセキュリティ基盤へとアップグレードするサービスです。
Chrome Enterprise Premiumの基本機能
これまで、情報の流出を防いだりアクセス制限をかけたりするには、専用のセキュリティソフトを何種類も入れる必要がありました。
しかしChrome Enterprise Premiumなら、ブラウザそのものが門番の役割を果たします。追加ソフトをインストールすることなく、機密データの外部への貼り付けや、ウイルスを含んだファイルのダウンロードを瞬時にブロックすることができます。
無料版(Core)と有料版(Premium)の
機能比較表
無料版の「Core」が基本的な管理機能を備えているのに対し、有料版の「Premium」は、クラウド利用や生成AIの普及に伴うリスクを未然に防ぐための機能が大幅に強化されています。
【機能比較表】
| 機能 | Core版(無料) | Premium版(有料) |
|---|---|---|
| ブラウザ管理 | 基本的な一元管理 | より詳細な分析レポートとポリシー管理 |
| 脅威対策 | 標準的なセーフブラウジング | リアルタイムの標的型攻撃対策・詳細検査 |
| データ損失防止(DLP) | 非対応 | 機密情報のアップロード・印刷・コピペ制限 |
| アクセス制御 | 非対応 | コンテキストアウェア(状況判断)アクセス |
| セキュリティ分析 | 簡易レポート | 組織全体のインシデント可視化・フォレンジック |
- 参考:ビジネス向け Chrome の料金 - Chrome Enterprise
無料版はブラウザの設定を一元管理するためのものですが、有料版は実務上のリスクを直接防ぐためのものです。外部への情報流出(DLP)や、特定の状況に応じたアクセス制限など、より高度な防御をカバーしています。
ゼロトラスト環境における
ブラウザ保護の重要性

クラウド活用が前提の現代では、「VPNの内側なら安全」という従来の防御モデルは通用しません。一度侵入を許せば、社内の機密データは無防備に晒されてしまうからです。
そこで不可欠となるのが、何も信頼せず、アクセスごとに厳格な検証を行うゼロトラストの考え方です。特に、業務の玄関口であるブラウザを強固な関所にすることは、企業防衛の最優先事項といえます。
無料版の管理機能でも一定の制御は可能ですが、巧妙化する攻撃を防ぐには不十分です。
たとえば、個人用ストレージへの機密データのアップロードや生成AIへの社外秘情報の貼り付けといった、ブラウザ上での何気ない操作が致命的な漏洩に直結します。こうしたリスクに対し、リアルタイムで内容をスキャンして自動的にブロックするには、有償版であるChrome Enterprise Premiumによる厳格な保護が不可欠です。
Chrome Enterprise Premiumの
高度なセキュリティ機能

Chrome Enterprise Premiumには、実効性の高い4つの機能があります。それぞれの仕組みと、企業が得られる具体的なメリットを詳しく解説します。
機密情報の流出を阻止するデータ損失防止(DLP)
ブラウザを通じてやり取りされる情報をリアルタイムでスキャンし、機密情報の漏洩を物理的に防ぐ仕組みです。
たとえば、以下のような情報を検知すると警告やブロックを実行します。
- 特定のキーワードを含むテキストのコピー&ペースト(社外秘情報・クレジットカード情報など)
- ファイルのアップロードや印刷
これにより、社員のITリテラシーに依存せず、生成AIへの不用意な入力や、個人用ストレージへのデータ転送といったミスをシステム側で防止できます。
コンテキストアウェアアクセスによる認証制御
IDとパスワードだけでなく、アクセス時の状況(コンテキスト)を見てアクセスの可否を判断する高度な制御機能です。
「会社支給のPCか」「OSは最新か」といった条件を組み合わせ、条件を満たさない端末からのアクセスを自動で遮断します。私物PCの安易な利用を防ぎつつ、許可された安全な環境下ではVPNに縛られない快適なアクセスを両立できるのが強みです。
拡張機能の管理・制御
管理者が許可していない拡張機能のインストールを禁止する機能です。
リスクのある拡張機能を一括ブロックし、社員が独断で追加したツールによる情報漏洩やマルウェア感染を未然に防ぎます。この機能により、組織全体のブラウザ環境を常に安全な状態に保つことができます。
ディープスキャンによるマルウェア・脅威対策
無料版が既知の脅威を退けるのに対し、Premium版は正体不明の不審なファイルの正体を暴く力に長けています。その核となるのが、ファイルを重層的にチェックするディープスキャンです。
不審なファイルをレピュテーション(評判)・静的解析・サンドボックスによる動的解析の3段階で精査します。
ダウンロードしようとしているファイルが未知のマルウェアでないかを、クラウド上で実際に動作させて分析し、フィッシング詐欺やランサムウェアの攻撃をリアルタイムで遮断します。
Google Workspaceと併用すべき3つの理由

Chrome Enterprise Premiumは単体でも強力ですが、Google Workspaceと組み合わせることで、現場のニーズにより即した機能へと進化します。
IDとデバイス管理の統合によるゼロトラスト
Google WorkspaceはID(誰が)を厳格に管理しますが、Chrome Enterprise Premiumはデバイス(どの端末で)を管理します。この2つを掛け合わせることで、初めて真のゼロトラストが完成します。
会社の管理下にないPCやOSがアップデートされていない危険な端末からのアクセスの場合、正しいIDとパスワードであってもブロックします。ユーザーとデバイスの両方がクリーンであることを自動検証し続けるため、IT担当者が一つひとつのアクセスを監視する手間を省けます。
DLP連携によるAIへの情報漏洩防止
Gemini for Google WorkspaceなどのAI活用において、企業が最も懸念するのは機密情報の入力です。
Chrome Enterprise PremiumのDLP機能は、AIへの入力内容も監視対象に含めることが可能です。たとえば、プロンプトに顧客情報などが含まれている場合、ブラウザが送信をリアルタイムでブロックします。
システムによるガードレールを設置できるため、AIの利便性と安全性を高い次元で両立できます。
管理コンソールの一元化による運用コスト削減
異なるメーカーのセキュリティ製品を組み合わせると、管理画面がバラバラになり運用コストがかかりますが、Chrome Enterprise Premiumの設定はGoogle Workspaceの管理コンソール内で完結します。
新しいツールの操作を覚える必要がなく、ID管理やデバイス制限が一箇所で同時に行えるため、工数を大幅に削減できます。ライセンスコストと管理者の人件費の両面でトータルコストを抑えられる、非常に合理的な選択です。
このように、Chrome Enterprise Premiumは、Google Workspaceとの連携によってその真価を発揮します。サテライトオフィスでは、Google Workspaceの新規導入や活用もサポートしています。
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Chrome Enterprise Premiumの
価格と導入方法

高度なセキュリティ機能を備えるChrome Enterprise Premiumですが、導入ハードルの低さと圧倒的なコストパフォーマンスを両立している点も、多くの企業から支持される理由です。
Chrome Enterprise Premiumの価格
Chrome Enterprise Premiumの価格は、1ユーザーにつき月額6ドルです。(※詳細な日本円価格は為替等により変動します。)
従来の境界型セキュリティを構築するために必要な、VPN機器の刷新や複雑なCASB(Cloud Access Security Broker)製品を個別に契約する場合、1ユーザーあたり数千円のコストが考えられます。
Chrome Enterprise Premiumは有料版に切り替えるだけなので、トータルコストを最小限に抑えられます。
スムーズな導入の3ステップ
Chrome Enterprise Premiumの導入は、既存の環境を活かしながら以下の3ステップで進めていきます。
- 1. ライセンスの取得と割り当て
Google Workspaceの管理コンソールでライセンスを取得し、ユーザーや組織単位(OU)へ割り当てます。特定の部署に絞ったスモールスタートも容易です。 - 2. セキュリティポリシーの設定
管理コンソール上で、DLPやアクセス条件を設定します。まずは警告のみで運用し、少しずつルールを調整していきます。 - 3. エンドポイントへの適用
管理対象のChromeにログインするだけで、ポリシーが自動適用されます。
サテライトオフィスでは、Google Workspaceの導入支援からChrome Enterprise Premiumの設計・運用までトータルでサポートいたします。お気軽にご相談ください。
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【事例】Chrome Enterprise Premiumの
活用シーン

Chrome Enterprise Premiumが、実際にどのようにビジネス課題を解決しているのか、代表的な活用シーンと企業の導入事例を紹介します。
【製造・金融】重要データの持ち出し制限
顧客情報や未発表の設計データが、ブラウザ経由で外部ストレージや生成AIに流出するリスクは、製造・金融など多くの業種で課題になります。
DLP機能を活用すれば、ブラウザ上の特定のキーワードやデータパターンを検知し、外部サイトへの貼り付け・アップロード・印刷をリアルタイムでブロックできます。
あわせて「誰が・いつ・どこで」機密情報に触れようとしたかを監査ログで可視化できるため、万が一の際も迅速な原因調査が可能です。
Snap Inc.の事例
Snap社は、CEPによって生成AIプラットフォーム等への機密情報共有に制限と警告を設定した結果、不適切なコンテンツ転送が50%減少したそうです。
社員の利便性を損なわずに、物理的なガードレールを設置した好例です。
- 参考:次回の'24:Chrome Enterprise Premiumの紹介、エンドポイントセキュリティの未来 |Google Cloud ブログ
【IT・リモートワーク】脱VPNによる安全なリモートワーク
VPNによる通信速度の低下は、エンジニアやクリエイターの生産性を阻害する大きな要因です。
Chrome Enterprise Premiumを導入し、会社が認めたChromeと多要素認証をアクセス条件に設定することで、VPNに縛られず社内システムへ安全かつ直接アクセスできる環境を構築できます。
専用ソフトのインストールが不要なため、私物PCの利用でも業務プロフィールから安全に接続することが可能です。
TELUSの事例
カナダの通信大手TELUSでは、Chrome Enterprise Premiumの採用により、VPNの設定などに縛られていた新入社員の受け入れ準備が従来の3〜4倍も高速化しました。
セキュリティを強化しながら、リモート環境下でも即座に業務を開始できる体制を構築しました。
- 参考:How TELUS uses Chrome Enterprise Premium for fast, secure onboarding
事例にあるような、脱VPNや強固なDLPは、Google Workspaceユーザーであれば最短ステップで実現可能です。
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よくある質問

ここではChrome Enterprise Premiumに関するよくある質問にお答えします。
Q.Google Workspaceを契約していなくても単体導入はできる?
A.はい、可能です。
Microsoft 365など、他のSaaSをメインに利用されている企業様でも、ブラウザをセキュリティの核とすることでゼロトラスト環境を構築できます。Microsoft 365アカウントとのシングルサインオン連携も可能なため、既存環境を活かしたスムーズな導入が可能です。
Q.導入によってブラウザの動作が重くなることはない?
A.動作への影響はほとんどありません。
Chrome Enterprise Premiumは、ブラウザ内蔵のエンジンやGoogleのクラウドインフラ上で動作します。PCに常駐してメモリを消費する従来のセキュリティソフトとは異なり、端末への負荷を最小限に抑えられます。
Q.既存のアンチウイルスソフトやEDRとの違いは?
A.保護する「レイヤー(階層)」が異なります。
アンチウイルスやEDRは、主にPC本体(OSやローカルファイル)を監視します。一方、Chrome Enterprise Premiumは業務の入り口である、ブラウザ内の操作と通信に特化して保護を行います。これらを組み合わせることで、端末そのものと、そこから行われるウェブ操作の両面で隙のない防御が可能になります。
Q.ChromeとSafari、ビジネスで利用するならどちらが安全?
A.ビジネス用途では、Chrome Enterprise Premiumが優れています。
SafariはAppleデバイスに限定されますが、ChromeはあらゆるOSで動作し、管理コンソールから一括で拡張機能や閲覧制限などを適用できます。
また、Safariには標準搭載されていないDLPによる詳細な制御や、Googleの高度な脅威検知システムによる迅速な対策ができる点も、Chromeが選ばれる理由です。
Chrome Enterprise Premiumで、一歩先のセキュリティ基盤を

Chrome Enterprise Premiumは、既存のブラウザをそのまま活用し、低コストかつスピーディーに強固なゼロトラスト環境を実現できる、極めて合理的なツールです。Google Workspaceと組み合わせることで、一元管理が可能となり、運用の安全性と利便性がさらに向上します。
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