SBCメディカルグループ株式会社 様

導入企業:SBCメディカルグループ株式会社 様

マーケティングタスクで年間約200時間の工数削減を実現
Gemini導入で業務効率を劇的に改善したSBCメディカルグループのAI戦略

美容医療をはじめ、皮膚科、歯科、AGA治療、不妊治療、眼科、整形外科、再生医療など、多岐にわたる医療分野においてクリニックの経営支援を展開しているSBCメディカルグループ。国内外に広がるクリニックネットワークは250院を超え、年間の来院者数は600万人以上。経営支援先クリニックを含むグループ全体の従業員数は1万人を超える。同グループはいち早くGoogleの生成AI「Gemini」を導入し、2024年10月からはマーケティングタスクで年間約200時間の工数削減が実現できることを確認。業務効率の劇的な改善を受け、グループ全体でAI活用を推進している。
※数値はすべて2025年11月時点の情報

現場先行の活用を支えながらGemini進化に期待した生成AI導入

SBCメディカルグループは、美容医療をはじめ、皮膚科、歯科、AGA治療、不妊治療、眼科、整形外科、再生医療など、多岐にわたる医療分野においてクリニックの経営支援を展開しており、その一環として、システムを含むバックオフィス業務のサポートも行っている。
国内外に広がるクリニックネットワークは250院を超え、年間の来院者数は600万人以上。経営支援先クリニックを含むグループ全体の従業員数は1万人を超える。こうした大規模な事業基盤を支えるバックオフィス業務のさらなる効率化と、現場従業員の教育体制強化を求められる中で着目したのが、生成AI技術だった。
※数値はすべて2025年11月時点の情報

「早い段階からユーザー部門が無料版のAIを使うなど生成AIの業務利用は行われていたのですが、管理側としては現場が使い始めてしまったという状態でした。ルールは作成して、安全な活用に向けたセミナー等も行っていましたが、Geminiの進化を待っている時期がありました」と語るのはSBCメディカルグループ株式会社 情報システム部 副部長の藤野慶氏だ。

同社ではGoogle Workspaceを基幹システムのひとつとして採用しており、AIを本格利用するならばGoogleの提供するGeminiを採用したいという考えがあった。当時はまだ機能的発展途上であり、導入コストも重かったことから経過観察している中、ユーザー部門が先に動き出していた。

生成AIを、現場がインターネット上の情報を頼りに日常業務に活用する。そうした中、課題になるのはセキュリティだ。無法地帯にならないように教育機会を設け、ひとまず無料版を業務活用しつつ、情報システム部では各種生成AIの有料アカウントを少数購入して試用していたという。

性能不足でも失敗が許容できる領域で積極活用

役職者など希望する一部に試用アカウントを配布しながら検証する中、当初予定どおりGemini利用を決めた同社では、現場への本格導入へ向けた第一歩として2024年春にGemini350アカウントを購入。これは社内の一部にしか配布していなかったメールアドレスを全社的に展開するにあたってGoogle Workspaceのアカウントを追加購入するのに合わせた形で、特に用途を決めたものではなかったという。

それが、CIOとして入社した中川帝人氏の強力な推進によってクリニックのマーケティングを担当するCPP(Clinic Promotion Planner)の業務で活用することが決定された。

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「当時高額だったGeminiアカウントが利用できていなかった中、コストがさらにかかるとしても削減ではなく全社展開しようと舵が切られました。CIOは前職でもGoogleのサービスを多く使っていたこともあり、当時のGeminiがハルシネーションが多く、高度な運用という観点では課題があるのではないかと考えていました。それでも社内導入事例をどんどん作りたかったので、スモールスタートで検証を行うことのできる部門ということで選んだのが、個人情報やお金を扱う業務ではない広告マーケティングの表面的な部分への利用です。トライ&ゴーして行こうということになりました」と藤野氏。

CPPは各クリニックの現場に配属されるマーケティング担当者で、全体で約300名が存在する。クリニックのホームページやSNSコンテンツの作成といった集客業務を担当する職種だ。

「クリニックによって先生の専門が違います。何が得意なのかに合わせたプロモーション戦略を展開しなければならないので、全体の方針は専門部署が決めますが、クリニックごとのプロモーションは各クリニックに配置されたCPPが行います」と語るのはSBCメディカルグループ株式会社 情報システム部 ITサポートグループ グループ長の小林綾那氏。

YouTubeやTikTok向け動画の台本を作成して医師に出演してもらう、クリニックとして発信するブログの文面を考えるといった部分も担当するという。プロモーション結果の分析なども必要になるため、負担の大きい作業だったようだ。

「毎日のように新しいコンテンツを出さなければならないので大変です。医師には施術に専念してもらえるようにして、他は別のスタッフが行うという形にしているので、その部分にGeminiを使ってもらうことにしました」と藤野氏。

AIの回答が不正確でも手作業で修正可能でありながら、人間の作業を確実にサポートしてくれる分野であるため、IT投資の文脈としても着手しやすく、業務効率化の期待ができる領域だからこその選択だ。まだ大きな投資をすべきではないが、AI時代の到来は確実だと考え、Big QueryなどGoogleのデータ活用基盤に集約する準備を進めながらのチャレンジになった。

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現場密着の「CPP」が実現した年間平均211時間の工数削減効果

国内でも非常に早いタイミングでGemini有料版を大規模に導入した同社での、最初の導入ケースは見事な成功を収めている。

まずコンテンツ企画と制作については、キャンペーン企画の作成、キャッチフレーズやSNS投稿用文章の作成がGeminiに依頼するだけで可能になった。下書きを作らせて人間がプレビューすることで作業量が大幅に削減できる。キャンペーン用ホームページ作成はSEOを考慮した特集ページの構成案からHTMLコード生成までをまかせ、必要な画像や素材を挿入するだけで公開できるようになった。

そうしたコンテンツ制作の前提となる競合調査やトレンド分析、最新のマーケティング概念のリサーチ等。また制作したコンテンツの配信スケジュール最適化といった日常業務の効率化とサポートも行われている。

さらに、プロモーション結果の分析には、GoogleアナリティクスのPDFレポートをGeminiにアップロードし、課題やインサイトを即時抽出した。結果から課題の抽出やKPI、次のアクションもGeminiに相談することで支援が受けられるようになった。

約300名のCPPの利用ログの中から、特に利用の多い4人をピックアップして工数削減を中心にヒアリングした結果、年間の工数削減時間は36時間、150時間、180時間、480時間と人によってバラつきはあったものの大幅な削減傾向が出ていることがわかった。平均すると、年間211時間の削減が実現したということになる。

Google WorkspaceのGemini標準搭載を受け全社展開へ

「Google Workspaceのアカウントを全社展開するために、複数プランで合計1万アカウントを用意していたのですが、本部や医師向けに用意したGoogle Workspace エンタープライズのアカウントを4500アカウントは段階的に配布してきました。これにはエンタープライズアカウントではGeminiが利用できるのでオンにして配布するようにし、当時まだGeminiが含まれなかったPlusアカウントユーザーで必要としている人にはCPPに配布した段階での余りアカウント割り当てるなどもしていました」と小林氏はCPPによる試験的な活用の最中にも並行してGemini利用環境の整備が進められていたことを語った。

そうした中、2025年1月にGeminiがGoogle WorkspaceのBusiness Standard/Business Plusにも標準機能として組み込まれたことが大きな転機になった。

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「無料版は学習されてしまうので使いたい人は申請してください、という形だったのが、追加コストなしに全アカウントで利用できるようになりました。利用はすぐ広がり、何にでも使われるようになっています。オフィスで通りがかりに見る画面にはたいていGeminiがある、というくらいです」と小林氏。

業務利用が進んだのは、一部業務での試験利用から全員が利用できる環境になったとともに、Geminiの機能自体も進化したことも大きいだろう。Google検索によるグラウンディングでハルシネーションが抑制されたこと、Deep Researchによって多角的な情報収集・分析といったリサーチ機能が強化されたこと等、現場で活用しやすい環境になった。またGoogle Workspaceとの連携も強化されたことでメールやドキュメントの下書き、データ分析やアンケート整理、プレゼン作成、会議の議事録作成といった日常業務にも活かされている。

「オフィスでは流行語のように、Geminiに書かせれば? Geminiでやれば? という言葉が二言目には出ています。もうない世界には戻れないですね。画像生成や動画生成は利用のための土台になるような上手な使い方を知るための検索方法などの情報提供をしているのですが、社内公募などちょっとした場でGeminiを活用して作ったものっぽいなという画像を見るようになりました」と小林氏はカジュアルに利用されている様子を語る。

ログ分析では、本部/CPP/マネージャー/ドクターなど4500名Google Workspace エンタープライズアカウントユーザーのうち、2人に1人が1日に5-10回はGeminiを利用する中頻度以上の利用者であると推定されている。デジタルに不慣れな人も含め、積極的に活用している状態だ。

Notebook LMで部門・業態特化AIエージェント育成など新しい取り組みへ

同社では2025年4月から、Big Queryに整備した統合データ基盤とGeminiを連携させてより高度な生成AI利用にも取り組んでいる。

たとえば、個人情報を含まない顧客データを利用して嗜好性や潜在的なニーズを分析し、カウンセリングやヒアリングにかかる工数を削減する取り組みだ。カウンセラーや受付業務の効率化を支援してくれる。

Notebook LMの利用も開始された。会議議事録や社内規定、競合調査結果などを投入し、部門や業態に特化したAIエージェントの育成を目指しているという。具体的には、経営会議の議事録や予算データをもとに意思決定を支援する、会議秘書的な役割をするものとして歯科領域から取り組みを始めているという。

「CEOのコピーのような存在を作成し、判断を代行するCEO AIとして使ってみています。忙しいからそれに聞いておいて、みたいに使われていますね」と藤野氏は語った。

LLM内製なしでGoogleにデータ集約した迅速なチャレンジが成功の鍵

SBCメディカルグループの生成AI導入成功には、いくつかのポイントがある。まず第1に、LLM内製化など大きな追加投資をしなかったことだ。

「企業版AI導入も検討しましたが、有料のGeminiの方がいいだろうと判断しました。医療法人なのでSEがあまりいない会社なので内製化も難しいですし、一回作ってしまったら進化させて行かなければいけません。事業会社で多くのSEを抱えていないところは、Googleのような大手企業が責任をもって作ってくれている製品を使うのが得策だと思います」と藤野氏は振り返る。

また、データがGoogle基盤に集約されていたこともポイントだ。元々利用していたGoogle Workspaceにしっかりとデータを蓄積しておくことでGeminiなど新機能がシームレスに連携し、次のイノベーション技術の導入に備えることができる。

ハルシネーションなど業務利用するには機能的に不足がある段階でも、リスクが低く効果が見込める分野に限定して先行利用したことも、全社展開への足がかりになった。先行利用者へのヒアリングやログ分析により、全社的な利用促進にもつなげている。

「セキュリティ面では元々不安もありましたが、自社だけでなくニュースを見ていても生成AI関連での情報漏洩トラブルが起きていないことで安心しています。ただトラブル発生があった場合にはどうしよう、セキュリティは大丈夫だろうかと今も気になっています。SBCメディカルグループは、アメリカのNASDAQで上場しているSBCメディカルグループホールディングスの連結子会社です。内部統制を強めなければいけない中で、AI利用のガイドラインを作れと言われているところですし、ログモニタリングなども強化しなければなりません。これはここ1年の課題ですね」と藤野氏は今後の課題についても語った。

Google Workspace導入からGemini活用教育支援まで幅広くサポートするサテライトオフィス

サテライトオフィスは、SBCメディカルグループがGoogle Workspace導入を検討する段階から支援を提供してきた。Gemini展開にあたっても安全な利活用のためのレクチャーを行うなど、サポートを行っている。

「とにかく対応が早いですし、最新情報も早く提供してくれます。Google関連以外のソリューションにも詳しく、コスト最適化が必要な中で柔軟な提案をしてくれるのも頼もしい」と藤野氏はサテライトオフィスの対応力を高く評価している。

SBCメディカルグループはこれからもGeminiをはじめ、最新のGoogleサービスを活用し、成長していくだろう。サテライトオフィスはひきつづきそのサポートを行っていく予定だ。

基本データ
  • ●所在地:東京都新宿区西新宿6-5-1 新宿アイランドタワー3階
  • ●導入アカウント数:9500

SBCメディカルグループホールディングス
【ホームページURL】
https://sbc-holdings.com/ja

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